ヤギ牧場のアレコレを簡単にまとめてみました!

ヤギ牧場とは文字通り、ヤギを飼養している施設です。観光牧場としてヤギとの触れあいが体験できる施設は多く、千葉県のむつざわヤギ牧場はその代表格となります。
むつざわヤギ牧場の触れ合い体験は積極的で、ヤギを抱っこするだけでなく、餌やりやヨガのお供など様々な時間を共有する事が可能です。しかし羊や馬、牛ならともかく、ヤギ牧場は珍しいと言えます。それもそのはず、現在の日本にとってヤギは頼りにならない家畜になってしまったからです。

そもそもヤギは羊や牛たちと同じく、人類にとってかけがえのない動物です。家畜としての歴史は紀元前にまで遡り、羊と馬、牛とラクダ、そしてヤギは「五畜」と呼ばれるほど人間と密接に関わっています。強靭な筋肉と体は山岳地帯や乾燥地帯の人々の糧となり、その毛と皮はテントの生地に用いられるほど定着しています。おまけにミルクは人間の母乳に近い成分となっているうえに、その量は羊よりも多いです。日本では明治時代からヤギの家畜化が本格的に始まり、戦前は多くの畜産農家がヤギを飼っていました。しかし高度経済成長を迎えると一変、あれだけ頼りにしていたヤギはその数を減らしていき、かわりに牛が頭角を現すようになります。時代の流れと言えばそれまでですが、実際にヤギを飼養するあたって様々な注意事項があるのは事実です。つまるところ飼育は非常に面倒です。

家畜になった草食動物は全般的に除草を助けてくれますが、ヤギは干し草や青草のバランスを管理しなくては下痢気味になったり、そもそも食べてはいけない草があったり等繊細な一面があります。他にも鳴き声がうるさかったり、本能的にジャンプしたりして脱走してしまったりなど人間を振り回しやすいです。付け加えるならヤギ肉は独特で、南西諸島もとい沖縄県以外ではあまり調理の技術が発達していません。戦前は当たり前だった飼育も現在は失われており、家畜化するにもデータ不足で出来ないのが現状です。

しかしそんな現状にもめげずに有名になった牧場があります。高知県にある川添ヤギ牧場がそれで、ここは2頭だったヤギから約200頭まで増やした牧場です。その畜産数は全国トップクラスで、同業者やヤギ愛好家から一目置かれています。一般人の見学は受け付けていないものの、川添ヤギ牧場のミルクは県内の加工業者に提供されてアイスクリームやミルクとなって私たちの元へ届いています。そんな川添ヤギ牧場でもデータ不足から試行錯誤をせざるを得ず、苦労しているようです。それでもあえてヤギの飼養に着手したのは牧場主がドイツ留学した際にヤギのミルクが当たり前のように飲まれているのを目の当たりにし、その記憶がずっとあったからだとインタビューで答えています。実はこうした動きは国内で少しずつ起こっており、例えば「ヤギをペットにするのは苦労するが癒されるから後悔はない」といった人たちが後を絶たないです。要するに再評価されており、戦前とはまではいかないものの、ヤギの家畜化は見直されています。

昨年から大阪にもヤギ牧場が出来ました。
大阪府泉南のおり牧さんです

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